フラクタル 第11話「楽園」


 フラクタル 第11話「楽園」の感想です。

 尺不足。この一言に尽きる。
 ただ、こういうラストは嫌いじゃない。

 バロー卿の口から語られる“フラクタルの鍵”の真実。
 今までフリュネの精神と肉体の融合が上手く行かなかったのは、肉体となるフリュネの年齢を皆が10歳だと勘違いしていたからとのこと。
 オリジナル・フリュネは“とある経験”により16歳にも関わらず、その精神年齢は10歳程度だった。その事実を発見したバローにより、クレイン達の知る“16歳の”フリュネが鍵として選ばれたというオチ。
 言葉を濁していますが、要は父親に性的虐待を受けて10歳で心の成長が止まってしまった少女がフラクタル・システムの鍵に選ばれたってことですよね。
 そしてバローはオリジナルと同じことをフリュネにした――と。
 ここまで引っ張った割にはすっきりしないオチでした……と言いますか、山本寛監督はかんなぎ騒動をまだ引き摺っているのか? と邪推してしまうような展開でしたね。
 
 バローをナイフで刺し、駆け出すフリュネ。クレイン達は彼女を追う途中でスンダ、エンリ、タカミーと合流。
 アラバスターの自爆テロにより崩壊する僧院。スンダはエンリとタカミーにダナンへと戻るように告げ、クレインと共にフリュネとネッサの元へと向かう。
 バローを刺した時のフリュネの目が思いっきりレイプ目でしたね。その直後の取り乱した様子から、自分の意志で刺したようには見えませんでしたが……一体、何がどうなってるのやら?
 この時点でスンダとディアスに死亡フラグが。結果は言うに及ばず。
   
 フラクタル再起動の儀式の場に乱入するクレイン達。遅れてディアスも姿を現す。
 爆弾により祭司長もろとも自爆するディアス。スンダはクレイン達をエレベーターへと乗せると、一人残って僧院の兵士達の足止めを買って出る。
 目を見張るような展開でしたが、それだけに描写不足なのが惜しかったです。ディアスをもうちょっと掘り下げていれば、スンダとクレイン達の絡みがもっとあれば……と思ってしまいましたね。
 クレイン達を送り出すスンダが印象的でしたね。「何が正しいかは俺にもわからない〜〜」や「仲間の選択がグラニッツの総意だ」と、いい兄貴っぷりでした。

 ネッサとひとつになりフラクタルの再起動を決意するフリュネ。そんな彼女にクレインは自分の想いを伝え、フラクタルの再起動を見届ける。
 結局、フリュネは鍵となることを選んでしまったのですが、ネッサやクレインの存在があっての選択だけに納得のいく展開でした。
 クレインのモノローグが感慨深かったですね。観ているこっちも胸を締め付けられるような思いでした。
 
 時は流れて一年後。
 フラクタルを再起動した後、眠りつづけていたフリュネが目を覚まして終了。
 最後まで視聴を続けた感想としては、やはり尺不足ですね。もう1、2話あればなぁという感じでした。
 あと、物語の引っ張り方がちょっと下手な印象でしたね。序盤からもっと世界の核心に迫るような映像を見せたり、鍵となるフリュネやネッサの情報を出しておけば、視聴者を物語に引き込むことが出来たような気がしてなりません。




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